展開図、眼鏡、気球、サリンジャー、そして『しししし』 ― 2020/06/14 14:02





菫程小さき人に生まれたし ― 2020/05/30 21:14
「超立体」という商標のマスクは、超立方体(四次元正八胞体)とは関係はなく、ふたつの錐面の接続である。



オレンジ色が目立つ小鳥がいて、ヤマガラにしては鮮やかだなと思ったが、黒い羽の白いワンポイントなどから、ジョウビタキ(♂)であることがわかった。図鑑によると、夏にはロシア方面に渡る、いわゆる冬鳥のはずなのだが、鳴き声からも間違いなくジョウビタキである。火打石に似る鳴き声からヒタキ(火焚き)と名づけられたという説もあるようだが、バードコールの「キッ」という摩擦音が一番近い。昨年まではこの声を聞いた記憶がなく、なぜ冬鳥が夏にいるのか、帰りそこねた『幸福な王子』の逆バージョンかと心配したのだが、この10年、北に帰らずに留鳥となり繁殖している観察例が多いそうで、研究者や日本野鳥の会も注目しているらしい。




とりとめのない話 ― 2020/05/24 16:41

最近、ずっと職場(観測所)の近くにいるのだが、二地域居住者なので、車のナンバーは県外だ。これへの差別(!)を不安に思うひとのために、当地の自治体が、車に表示する「在住カード」を用意した。親切だが、それが必要となる世間というのは、なんだか息苦しい。
隣家に、クラリネットのソリストが住んでいる。いまは、商売あがったりで、雌伏の状態だが、先日、その家から、モーツァルトのクラリネット協奏曲の練習の音がかすかに聞こえてきた。得した気分になり、しばらく家の外に出て聴いていた。昨今の自粛生活では、近隣の騒音トラブルもあるというのに、わたしはなんだか恵まれていて、大好きな曲の生演奏にうっとりしていた。

5/17の『朝日中高生新聞』と、5/21の『朝日小学生新聞』で、『折る幾何学』が紹介された。電話取材と写真および図の提供であった。合目的的には、こういう取材で充分で、いままでの取材や会議でじっさいに会っていたのはなんだったのだろうと、この世相の中で、あらためて思う。ネットでのやりとりのほうが、言いたいことがうまく伝わることさえある。しかし、ひとに会うというのは、気が重いこともあるが、目的の決まったなにかのためだけではなく、きっかけであり、気分転換であり、そこから派生することが重要な場合もあるのを忘れてはいけない。
毎年NYで行われるOrigami USAのコンベンション(大会)が、テレビ会議システムをつかったunconventionとして開催されるという。unconventionという名詞は辞書にはないが、convention(大会、集会)という単語には「しきたり」という意味もあり、それの否定の形容詞化であるunconventionalという単語は、「慣習に従わない、型にはまらない、風変わりな」といった意味を持つ。ネイティブか英語に堪能でないと思いつかない、洒落た言葉遊びだ。より説明的には、unconventional conventionだろうか。いつも通りではない大会。
『日本国憲法』第二十五条は、個人にたいして生存権(「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」)を保証し、国に「すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」ことを義務づける。思い出すのは、次の、福祉のパラドクスだ。
1665年、英国でペストが蔓延し、ロンドンだけで死者の数が3万人を超える惨状となった。ケンブリッジの各カレッジも閉鎖され、トリニティ・カレッジを卒業したばかりの23才の青年アイザック・ニュートンは、故郷ウルソープに帰ることになった。彼は2年間ひきこもって、ひとり研究に没頭し、科学史を塗り替える、というよりも、近代の扉を開く革命的な業績、すなわち、微積分、光に関する理論、万有引力の法則をつくりあげた。
とは言え、感染症の流行や戦争が、個人史に与える影響は大きい。『カルカッタの殺人』(A Rising Man、アビール・ムカジー著、田村義進訳)というミステリを最近読んだのだが、これはたいへんよくできた近代歴史ミステリで、物語の背景にスペイン風邪もでてきた。主人公が、インドに赴任したばかりの元スコットランド・ヤードの警部なのだが、第一次大戦の従軍と、スペイン風邪で妻を喪ったトラウマの中にある、という設定なのだ。舞台となる年は1919年である。
スペイン風邪と言えば、柳田國男による、1920年の夏から秋の旅行の記録をもとにした『雪国の春』には、お盆の切子灯籠に関して、以下の記述がある。
…
正月十九日。病床万一の事を慮りて遺書をしたゝむ。
…
正月廿二日。悪熱次第に去る。目下流行の風邪に罹るもの多く死する由。余は不思議にもありてかひなき命を取り留めたり。
正月廿五日。母上余の病軽からざるを知り見舞に来らる。
…
正月卅一日。病後衰弱甚しく未起つ能はず。卻て書巻に親しむ。
妖怪転じてヒヨコとなる ― 2020/05/04 16:15






風ひかぬ魘(まじない) ― 2020/04/18 20:39


オンライン例会(日本折紙学会)など ― 2020/04/12 21:21
4/18(土) 14:00-17:00、日本折紙学会が「オンライン例会」を企画しました。
Mathematician (数学者)ならぬ、Mathemagician(数学の魔術師)こと、ジョン・ホートン・コンウェイさんが、新型肺炎で亡くなったというニュースがあった。うーん。高齢ではあったけれど。
このパンデミックの中、人口密集地での通勤がなく、生活圏の半分が僻地で、リモート作業の環境もあるというわたしは、きわめて恵まれている。緊迫感がまだ薄い2ヶ月前に参加した会合でも、異なる集団をつなぐハブになる恐れもあることから、若干浮いているぐらいに用心深い態度を取ったが、そのような振るまいができたこと自体、つまりは、恵まれていたからである、といまになって思う。
あやめなど ― 2020/04/08 22:35


ステイ・アット・ホームのみなさまに図を提供します。正方形から三弁の花を折るトリッキーなところが気にいっている作品です。入手可能な書籍には載っていないものです。
小鳥など ― 2020/03/20 16:09



瀬名秀明さんの「折り紙小説」『この青い空で君をつつもう』の文庫版が出た。解説は西川誠司さん。わたしにもすこし触れられている。この小説でもナマズが活躍するよ。
2年ぐらい前に出たのに気がついていなかった、折り紙を扱ったライト・ノベル『折紙堂来客帖 折り紙の思ひ出紐解きます』(路生よる)を読んだ。参考資料に『折るこころ』(龍野市立歴史文化資料館、1999)があるのがポイントが高く、折り紙の扱いがきちんとしている。テイストとしては、最近のアニメーション版の『ゲゲゲの鬼太郎』みたいな感じ。
3/7(土)テレビ東京『新美の巨人たち』は、吉澤章さん。よくまとまっていた。吉澤さんが、幼少期に、壊されてしまった折り紙の船をつくりなおしたというエピソードは、聞いたことがあったような気もするが、「帆掛け船」より「宝船」のほうがそれらしい気がした。真相は知らないけれど。
感染されるのを恐れるより、感染していると仮定して感染させないように振る舞うとよい、と述べているひとがいて、これには納得した。なんとなく『マタイによる福音書』の「汝の隣人」を連想したが、今回の感染症は無症状感染者が多いということからも、合理的だ。

最近あった、幾何学好きのひと同士の会話である。(記憶で書いているが、実話である)
休校お見舞いなど ― 2020/03/03 21:33
ぎゅぎゅう詰めなど ― 2020/02/05 21:32


千代紙といえば、先日、調布PARCOの古本市で、『日本の紙芸』(1969)という本を購入した。江戸千代紙の老舗・伊勢辰の主人である広瀬辰五郎さん(三代目)の著作である。内容と関係なく面白いと思ったのは、目次の「折紙」のページ番号だ。「三」の字の天地が逆になっているのだ。活字の植字だったがゆえのミスである。活字には向きを示す溝(ネッキ)もあるのだけれど、対称性が高く見える文字は、間違いをする可能性が高いのかもしれない。


今日の野辺山はとても風が強く、30m/s近くにもなっていた。立春過ぎの南風なので春一番になるのか。一昨日も風が強く、川上村の上空あたり(?)にきれいなレンズ雲ができていた。レンズ雲の発生には地形の影響が大きいが、これは、北相木と南相木にまたがる御座山(おぐらさん)と川上の盆地地形によるものだろうか。強風は観測条件としては最悪だが、今日はそもそも観測のない「ホワイト・スロット」であった。


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