から四面体子2011/11/06 00:46

から四面体子
辛子明太子で四面体をつくってみた。つまり、から四面体子。…それだけである。

ヴァリニョン畳紙(?)2011/11/06 00:39

ヴァリグノンの平行四辺形
『偏愛的数学II 魅惑の図形』(A. S. ポザマンティエ & I.レーマン著  坂井公 訳) を読んでいて、任意の四辺形の辺の中点を結ぶと平行四辺形になる(図左上)という定理に、「Varignonの平行四辺形」という名前がついていることを知った(Varignon(ヴァリニョン)は17-18世紀の数学者)。いわゆる「三角形の中点連結定理」の応用で、高校の入学試験あたりにでてきそうなものだが、鮮やかな定理である。

この定理の特殊な場合として、次のことがある。
・四辺形の2本の対角線が等しいとき、中点を結んでできる四辺形は菱形になる。
・対角線が直交しているとき、中点を結んでできる四辺形は長方形になる。
・上のふたつが満たされるとき、中点を結んでできる四辺形は正方形になる。
菱形になる四辺形には、長方形や等脚台形などがあるが、長方形でも等脚台形でもない、一見なんの特徴もなさそうな四辺形(上段中写真)がこうした条件を満たしていると、その四辺形には、隠れた特徴を持った「世を忍ぶ仮の姿」の風情がある。そして、正方形になる場合の隠れた特徴を確認する、じつに「折り紙的」な方法があることに気づいた。対角線の交点に合わせて「ざぶとん折り」をすると、正方形になるのだ(右上写真)。これがなかなかきれいなので、この特徴を使って、畳紙(パッケージ)をつくってみた。名づけて、「ヴァリニョン畳紙」(なんのこっちゃ)(中段写真:長方形用紙と正方形用紙)である。(←この段落、11/11 一部、正しくない表現を修正

四辺形に内接する四辺形といえば、長方形に内接する菱形に関して、次のようなこともある。以前、菱形十二面体の折り紙モデルをつくっているときに気づいたことだ。
長方形に内接する菱形は、中点を連結したものが面積最小になり、長方形の頂点と菱形の頂点が一致するものが面積最大になるのだが、これらの菱形はすべて相似なのだ(図下段)。菱形の対角線の比が外の長方形の辺の比になることはすぐに示せるので、当たり前と言えば当たり前なのだが、これを見つけたときは、ちょっと意外の感があった。


なお、『偏愛的数学II 魅惑の図形』には、以前このブログに書いた「完全直方体」が不可能であることが証明されていた旨のことも書いてあった。

後記(2012/06/19) :座右の書でありながら、きちんと読んでいない『幾何学入門』(H.S.M.コクセター著 銀林浩訳)をぱらぱらとめくっていて、Varignonをカタカナ表記すれば、ヴァリグノンではなくヴァリニョンであるということに気がついたので、表記を修正した。

アルバムから2011/10/30 00:25

アルバムをながめていた。ちょっと面白い(かもしれない)写真を並べてみる。

瀬戸大橋(たしか)
2003年11月 瀬戸大橋(たしか) ワイヤーの断面図。外周二列で正六角形の充填構造が崩れている。

ちかんに注意
2004年1月 三鷹市(?):謎の動物が痴漢をするらしい。

プロトケラトプス
2004年1月 三鷹市(?):プロトケラトプスは、正面から見ると顔だけになる。

竜頭蛇尾?
2004年6月 鎌倉:竜頭蛇尾? 羽根があるので麒麟かとも思うが、後脚がない。

危険な竹薮
2005年8月 長野:危険と見せかけて、かぐや姫を保護していると見た。

巻貝すべり台
2006年5月 東京都中央区:かっこよい。梯子にも芸をみせてほしかったけれど。

顔の家
2010年4月 東京都府中市:「どんなものにも顔がある」(岡本太郎)

スパイラルというよりヘリックス
2010年7月 山梨県北杜市:「スパイラルバンブー」と名づけられているが、スパイラル(渦巻)というより、ヘリックス(弦巻)だ。

自己言及的トンネル
2010年11月 山梨県北杜市:自己言及的なトンネルだ。

丸石神その32 -再利用-2011/10/25 22:54

丸石石仏(北杜市高根町)
北杜市高根町村山西割で見た石仏は、頭が丸石になっていた。明治の廃仏毀釈で破壊された石仏と丸石神を、ほとぼりが冷めたころに合体させて再度祀ったものではないか、と推測した。当時、石仏の頭は割られたものが多かったという。隣りに、石祠に並んで、ごろんと丸石もあった。

『丸石神』(丸石調査グループ編 1980)にも、道祖神石像の頭が丸石になっている写真があり、中沢厚さんが「二基の四神像はいずれも頭部欠落で、代わりに丸石が四つちょこなんと乗って頭の役目を果たしています。そんなユーモラスな趣向は甲州ならではというべきでしょう」と記しているが、村山西割の石仏は、大きさが等身大のこともあって、ノッペラボーという感じが強く、彫刻造形的に、かなり奇妙な味わいになっている。

葉っぱ玉など2011/10/10 23:11


葉っぱ玉など

木蔭

ねじれ十二面体の構造を、かるく折った菱形でつくってみた。まずは、写真左のように、ホチキスでとめてみた。じっさいにつくってみると、すかすかした感じがなかなかよい。菱形が葉のように見えたので、葉脈を印刷した菱形でもつくってみた。こちらは、ボンドで接着した。

「葉っぱ玉」のほどよい「すかすか感」は、写真のような木蔭の密度を連想させる。そういえば、シェルピンスキーのギャスケットを使った日除けを、以前ニュースで見たことがあった。検索すると、京都大学の酒井敏さんによる、フラクタル日除けなるものだった。

この葉っぱ玉の6枚組み(正二十面体構造になるもの)をあらてめて見ていて、川畑文昭さん命名の「フラストレーションユニット」(組みが脆弱なので組むのにいらいらするが、糊付けなしでなんとか組めるユニット折り紙)の技法で、6枚組みの正二十面体ができるのではないかと考えた。いろいろやってみたが、糊なしでは難しかった。じっさいにきれいに組めるものとして、1:√3長方形によるモジュール4つ、同じ比率であるが1/3の大きさの長方形のモジュール2つの6枚組によるものができた。

ねじれ立方体など2011/10/08 11:00

ここ数日、空いた時間は、ほとんど「ねじれ立方体」関連のことを考えていた。予定表が埋まっているときに限って、関係ないことに熱中するのは、なぜなのだろう。試験前になると、小説を読んだり、パズルに熱中していた学生時代と変わらない。

発端は、切断面のある一枚折りで、ねじれ立方体をつくろうと考えたことである。ねじれ立方体(snub cube)というのは、正方形6面、正三角形32面からなる半正多面体である。歪立方体、変形立方体、ねじれ立方八面体などとも呼ばれる。正方形6面が立方体の面の位置にあり、面の向きを変えずに回転して縮小されることでできた隙間を、正三角形でつないだ立体だ。カリフォルニア工科大学のベックマン研究所前にある噴水が、この立体になっている(写真)。Sculptural Works California Institute of Technologyというページによると、鉄貯蔵タンパク質フェリチンの対称性を模したものということだ。(鉄貯蔵タンパク質フェリチンに関しては、このページ(日本蛋白質構造データバンク)の図を参照されたい。ナノスケールのカプセルで、自然のみごとさに感心する)

Snub cube at Caltech

Snub cubeという言葉だが、なぜtwistなどではなく、snubなのかがわからないので、これもすこし調べてみた。snubは、「鼻であしらう。船や馬などを急に止める。ぶっきらぼうな、獅子鼻の、ずんぐりした」といった意味だ。Snub cubeは、『プラトンとアルキメデスの立体』(ダウド・サットン著、青木薫訳)によると、ケプラーが名づけたラテン語の「クブス シムス」の訳ということだった。羅英辞典によると、cubusは、cubeのことで、simusには、たしかにsnub-nosed(獅子鼻の)の意味もあるようだが、splayed(斜めにする)ともあった。英語のsnで始まるsnob(鼻にかける)、snore(いびき)、sneeze(くしゃみ)、sniff(嗅ぎまわる)のような「鼻単語」よりも、「曲がった」という、より一般的な形容詞なのではないだろうか。単なる直訳なのか、「ぶっきらぼうなキューブ」というのは、どこかジョークぽくなっている。

さて。この立体は、正方形と正三角形という、いわば単純な面からなるのだが、まさに「ねじれて」いるので、対称面、切断面はけっこうややこしい。いくつか「両断シリーズ」を試したが、どうも扱いづらい。というか、わたしは、この立体に馴染みが薄かった。折り紙でも工作でもつくった記憶は、1回あるかないかだ。

そこで、まずは、ユニット折り紙の手法でつくってみることにした。使うパターンは、図の左端を基本にして、その6枚組にした。三角形8面を凹にするつくりである。写真左は、余計な折り目なしの、図左端の変則八角形でつくったもので、かなりきっちり組めた。厚手の紙を使うと、このままパッケージになりそうだが、組むのは易しくはない。このパターンを正方形用紙からとることは難しくない。AとBのふたつが考えられ、Bのほうがやや効率がよい。写真右はBからのものだが、折るだけで作図したので、余計な折り目がついた。

ねじれ立方体

さらに、この折り目の変形を試行錯誤するうちに、Aパターンからの6枚組みで立方八面体になるものができた(写真左下)。このモデルは、途中で現れる模様などが「折り紙的」にじつに面白い。さらに、上のねじれ立方体と同様の三角形八面を凹でまとめるという技法を使って、正方形の三等分の折り目で、斜方立方八面体の6枚組もできた(写真右下)。これは、単純な(まさにひねりがない)ので先例がありそうだ。

立方八面体、斜方立方八面体

ねじれ立方体に戻って、正方形の面を穴にすることを考えると、このブログの「ユニット貼り紙など」で示した正三角形からのモジュール8個で、きれいに組むことができた(写真左下)。写真右下は、同じモジュール20枚組のねじれ十二面体である。かなり脆弱になるが、ねじれ十二面体は、正多面体、半正多面体の中で、最も球に近い立体なので、ころころとしてよい感じである。しかし、モジュール数が20個になると、それを折るだけでたいへんである。わたしはあまり数の多いユニット折り紙をしないけれど、布施知子さんや川村みゆきさんは、いったいどうやってモチベーションをあげているのだろう、とあらためて思った。試行してうまくいかなったときは落ち込むだろうなあ。

ねじれ立方体、ねじれ十二面体

このユニット折り紙のように、これらの立体は、鱗紋のような「正三角形4枚つながり」の組み合わせで構成できる。それは、以下の表のようになる。表題の赤い部分が接合線である。

ねじれ多面体表

この表から、正二十面体を「ねじれ四面体(snub tetrahedron)」として解釈可能であることに気がついた。よく知られたことなのかと、snub tetrahedronで検索すると、Wikipedia(英語版)にもその旨が書かれていた『多面体』(P.R.クロムウェル著 下川航也 他訳)にも「問題 なぜ「歪四面体」がないのかを説明せよ。それを作ろうと思っても、よく知られた多面体になるはずだ」とあった。

この発想はさらに敷衍が可能である。かなり強引だが、正八面体を「ねじれ三面体」と考えるのである。三面体? 「二角形」3面からなるかたちである。「二角形」は、球面を三等分した舟形(図)と考えればよい。正八面体では、この舟形がスリットに変形するわけだ。なお、正四面体を「ねじれ零面体」や「ねじれ一面体」と考えることはできない。そもそもこれは、接合線の規則からはずれているからである。

三面体(?)