√2の日と中島敦のロック2010/01/05 23:04

√2
何者か 我に命じぬ 割り切れぬ 數を無限に 割りつづけよと
(中島敦『夢』から)

 もうすこし前に気がつけばよかったのだけれど、昨日、就寝時に上の歌を読んで、割り切れぬ→無理数→√2→1.4...ということで、思いついた。そう、3月14日が円周率の日ということらしいので、1月4日を√2の日にしよう、と。より細かく、1月4日14時21分35..秒が、√2の時でもよい。10進法と60進法が混ざるのは変だけれど。

 √2と言えば、わたしは、2ヶ月ほど前に『本格折紙√2』という本を上梓した。その表紙と裏表紙の背景には、√2の小数展開の数列が配されている。表紙は、帯をはずすと数列が途中で切れてしまっているのだが、これらの数字は、言うまでもなく、どこまでもどこまでも続くものである。上に、表紙のデータより、さらに桁数を増やしたものを示す。

 さて。ここに示したような数値を得るためには、特別な工夫、特別な計算法が必要である。計算機でよく使われる倍精度実数の有効桁数が、せいぜい15桁ぐらいだからだ。このデータをつくるためにプログラムを組んだのだが、上の歌「何者か 我に命じぬ…」-これ自体は循環小数のことのようだが-を、プログラムのつぶやきと考えたら、プログラムがいじらしくなった。なお、プログラマがプログラムを擬人化するのはよくあることだ。
(その後、LongHandという、有効桁数を指定できるとてもよくできた計算機ソフトウェアがあることも見つけ、わざわざ自分で組む必要もなかったことも判った)

 そして、中島敦の歌というのが、じつに面白いことも、発見したのだった。たとえば、
眼瞑(と)づれば 氷の上を 風が吹く 我は石となりて 轉(まろ)びて行くを
(中島敦『石とならまほしき夜の歌』から)
って、ボブ・ディランじゃん! Blowin' in the windで、 Like a rolling stone だぞ。

『本格折り紙√2』2009/10/08 21:13

『本格折り紙√2』
 『本格折り紙』の続編・『本格折り紙√2』(本格折り紙ルート2)が、来週あたりから書店に並びます。amazon等のネット書店はまだのようです。(10/9から、amazonなどでも)定価は2200円+税。
 『2』ならぬ『√2』なのは、数点を除き、A4などの規格用紙に使われている1対√2の比率の紙からの作品ばかりを集めた本だからです。
(なぜか、新刊告知は、ですます調)

 本を出版するのは、うれしいと同時に、どこか気恥ずかしい。思い浮かぶのは、次の歌。
いつか是非、
出さんと思ふ本のこと、
表紙のことなど、
妻に語れる。
(石川啄木)