いろいろの本2018/11/21 22:54

新作が、11/24(土)22:45-23:00に放映。 NHK Eテレ。
今回はどういう話かよく知らないが、たのしみにしている。

◆比喩としての折り紙、そして、炎色反応
森見登美彦著さんの小説『熱帯』に、こんな記述があった。

彼方の砂丘がゆっくり飴のように溶けているのが分かった。立ちのぼる色濃い砂煙は、折り紙を燃やすように蒼穹を縁から齧り取っていく。

折り紙は、「もろく儚い」という意味での喩えにはよく使われるが、燃えるさまを比喩に使うのは珍しい。たしかに折り紙用紙はよく燃える。そして、銅化合物を含む青い染料を使った折り紙用紙は、とりわけ炎色反応が鮮やかで、独特の雰囲気で燃える...という記憶があったので試してみた。
青い折り紙の炎色反応
記憶のとおりだった。折り紙が燃えるさまと言えば、別のところでも引用させてもらったが、以下の句がよい。

短日のどの折鶴もよく燃える 西原天気

『熱帯』は、自己参照的な構造を持った森見節で、たのしく読んだ。
(p215の「その梯子」は「その様子」の誤植ではないかと)

◆「牧水の話」
折口信夫の著作に「牧水の話」とあるのを見て、えっ、深い交流があったの?と、かなり意外に思ったのだが、よく見ると、『若水の話』だった。元旦に汲む「若水」を沖縄の民俗に関連づける話だ。頭の中で、若山牧水、略して若水になっていた。ただ、牧水に言及している文章もあるらしい。

『七五調の謎をとく』(坂野信彦著)という本を読んだ。「七五調は2のn乗を起源とする説」(以前数学者の森毅さんが言及していて、なるほどと思った)や、以前考えた「字余りの歌について」にも関係する話の数々が、専門家の手で、一般にも通じるように、明晰に書いてあり、いろいろと腑に落ちた。坂野信彦さんは、短歌の実作者でもあり、論争的なひとだったらしい。

◆いろいろの本
上の『七五調の謎をとく』の出版元の大修館書店は、辞典で有名だが、わたしには、千野栄一さんのエッセイやウィトゲンシュタイン全集を出している出版社として刻まれている。ウィトゲンシュタインはわたしのアイドルだったので、学生時代(はるかむかし)、値が張るなあと思いつつ、どうしても読みたい巻があって、何冊か買った。しかし、きっちり読んだかというと、斜め読みでなのであった。などという記憶から連想したのは、『なんとか色の本』ということである。

『青色本』『茶色本』 ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン
『黄色い本』 高野文子
『ホワイト・ブック』 『The C Programming Language』というC言語の「聖典」の別名。ブライアン・カーニハン、デニス・リッチー
『赤本』 大学別の過去問題集

表紙の色が呼び名になっている本があるな、というだけの話である。『黄色い本』は、じっさいにそういう名前の本である。そして、『The C Programming Language』の翻訳本『プログラミング言語C』は、カバーをとると黄色く、二版のカバーは薄緑である。

以上、例によって、だからなにという話なのであった。

正方形の辺の5等分から2018/11/22 22:40

図1は、よく知られた、正方形用紙からの、辺の5等分の折りだし方法である。
辺の5等分
・辺の2等分点を求め、正方形の頂点とその点を結んで折る。
・折り返した頂点が辺の5等分の目安になる。

どうして5等分になるかは、初等幾何の問題として、とくに難しくはない。とはいえ、講習会などでは、「どうしてこうなるか考えてみてください」などとして、詳しい説明をした記憶はない。使いなれすぎていて、ひとに説明することを、あまり考えてなかったのだ。しかし、最近頻繁に5等分を使ったモデルを講習する機会があって、直感的でわかりやすい説明があったほうがよいと思うようになった。そこで考えてみたのが、図2である。
辺の5等分(説明)
・のこった1/2の辺も、すでに折った辺に合わせて折り返す。
・その折り返しは、大きい折り返しの縮尺1/2の相似形である。
・ふたつの折り返しは、辺がぴたり合って、のこった裏の白い部分も直角三角形になる。
・白い三角形の辺の比率が3:4:5であること見てとるのは容易で、斜辺には1/5の点がある。
・これで、5等分の目安が見える。

辺の3等分
さらに、図3のように別の辺を折り返すと、そこに辺の3等分もあらわれる。これもちょっと面白い。そして、関連して、3等分に関する、もうひとつ面白いことも見つけた。

図3の折り返しは、前のふたつの三角形と向きが異なっているため、三つの三角形が相似形になっていない。これを同じように折っていくとどうなるか、という問題である。

1/3への収束
・図4左のように、図2からの3回目の折りも、同じ向きに相似の三角形を折る。
・そして、図4中央のように、前に折ったものをもどし、同じ操作を繰り返す。
・辺の上の点は、1/2, 1/4, 3/8, 5/16,...と変わっていき、極限で、図4右のように1/3に収束する。

図4が1/3に収束していくのは、藤本修三さんの「漸近折り」の一種とも言えるが、この収束値は初期値に依存する。1/3になるのは、初期値が1/2だったからで、一般化すると、1/p で始めると、収束値は1/(p+1)になる。(なお、ここで、p>1 である。)

漸化式で書くと、(1)の式で、これは、(2)のように解ける。pが1より大きいので、n+1乗の部分が0に収束し、全体は1/(1+p)になる。
漸化式
以上のように、式で解いて理解するのが正攻法だが、以下にように見ても面白い。

・収束するのであれば、同じ値を繰り返す図4右のようになるはずである。
・図の対称性から、直角三角形の短辺/長辺は、正方形の変の長さ1、短辺の長さxとして、x/(1-x)である。
・これを1/pとおけば、x=1/(1+p)である。

「収束するのであれば」という仮定があるので、厳密ではないが、かたちが目に見える感じになる。前述のように、この値が収束するのはp>1のときである。1/pが1より小さいことは、もとの折り紙操作にも対応している。しかし、それを逸脱して、たとえばp=0.5などとすると、この漸化式の値は振動しながら拡大する。

関連して思い出すのは、折り紙作図において、繰り返しによって、値が振動したり不規則(カオス)になる操作はどういうものだろうかという、以前、舘知宏さんが話していたことだ。

「旗々キューブ」など2018/11/25 20:23

◆ハタハタキューブ
旗キューブ
折紙探偵団静岡コンベンションに参加中、ゲストがフランスからのViviane Bertyさんだったこと、川畑文昭さんが「ジョージアの国旗」という作品を講習していたこともあって、旗の図案でキューブをつくるというアイデアが生まれた。6面全部トリコロール旗にしたものは、Vivianeさんにプレゼントした。

右は、日仏伊(5枚組み)としたもので、今日なにを食べるのか選ぶサイコロになる。中華もほしいところだが、五星紅旗は複雑すぎるので断念した。できたにしても面がぶかぶかしてしまうだろう。同じ理由で、「日章」も最大限単純に、正方形にした。左(5枚組み)は、スイス、ドイツ、チェコである。スイスもぴったり折るには充分複雑なので、フォイル紙を使った。なお、それぞれ、裏面も同じになっている。

◆「円錐台小容器」のバリエーション発見
わさび漬け
コーヒーフレッシュとガムシロップの容器の平面図の形状について、ここここに書いたが、静岡で食べた弁当にはいっていた「わさび漬け」の容器の形状が、またすこし変わっていた。
直線の角度は約82度、コーヒーフレッシュやガムシロップのような、大小の円を外接させてそれを接戦で結んだかたちからもずれていて、「とがり部」の曲率半径がかなり小さい。4個並べると、わさび漬けらしいカラーと相まって、四つ葉のクローバー的になる。

ウリッボウタイ2018/11/28 22:53

ネタを思いついたので、つくってみた。
ウリ坊のような立方体で、名づけてウリッ坊体である。
ウリッ坊体

ランタナなど2018/11/29 20:14

◆ランタナ
ランタナ
静岡県清水市三保の海岸で見かけた、黄色とピンクの小さい花、ランタナ(和名:シチヘンゲ)。暖色系の小さいアジサイのような、かわいらしい花なのだが、「世界の侵略的外来種ワースト100」のひとつだという(国立環境研究所 侵入生物データベース参照)。日本の分布状況を見ると、野生化が進んでいるのは沖縄と小笠原のようだが、美保の海岸でもかなり茂っていた。

◆切り抜きサイコロ
切り抜きサイコロ
折り出すよりも、切ってしまったほうがすっきりするということで、つくってみたら、なかなかよい感じになった。