カナヘビとか2018/03/05 23:15

◆ヤバイものを見た。
「やばい」「ああそうかい」
「やばい」 「ああそうかい」

★燃える雪
平昌オリンピックのメインスタジアムが正五角形で、さらに、雪の結晶的な映像まで正五角形であるのを見て、「これ」を思い出した。

◆和算をあつかった小説
和算をあつかった書き下ろしの小説を、日をおかずに読んだ。ブームなのか?

『算額タイムトンネル』(向井湘吾)
じつは、あまり期待せずに読み始めたのだが(向井さん、ごめんなさい)、考証や設定でぎりぎりにそれらしいところをついてきて、読み進むにしたがって、これはいいぞ、となった。折鶴を扱った問題もちらりとでてきてニヤリである。和算を扱ったフィクションには、考証を完全に捨て去っているものもあるが、この小説ではそうしたことは感じず、扱っている題材が、作者にとってただの借りてきたネタではないことが伝わった。なお、本書は、題名からはそれとわからない前後編の前編である。

『茜空 - 大江戸算法純情伝(1)』(山根誠司)
登場人物の性格づけが現代人的かなと思ったが、逆にそれもあってか、読みやすい話になっている。数学史(和算史)的な興味では、零約術 (無理数の有理数近似)の扱いが面白かった。主人公の新助の着想を、帰納法的なアプローチとして、建部賢弘に感心させている。

ちなみに、建部の零約術は、連分数展開に相当するものとしてまとめられたはずだが、ここでの、√73の「解答」である1068/125は、連分数からの値とは違っている。これもちょっと面白い。√73の連分数は、[8; 1, 1, 5, 5, 1, 1, 16]で、1...16が循環するかたちになる(二次の無理数は必ず循環する連分数になる)。循環の前までで計算すると17669/2068、その前の1までで計算すると、2008/235、その前では487/57である。1068/125は、2008/235より精度がよい。

いずれにせよ、『算額タイムトンネル』と同様、作者の和算好きが伝わる物語だ。
と思ったら、著者は、ブルーバックスの和算の本を書いているひとなのであった。
その本(『算法勝負!「江戸の数学」に挑戦』)も以前ざっと読んだが、そこでも折鶴の問題がとりあげられていた。史実における折鶴の問題は、最上流の渡辺一によるもので、関や建部が活躍していた時代よりややあとになるのだが、17世紀末なら折鶴が普及していたとして無理はなく、お話としては許容範囲なので、続編では、折鶴の問題がでてくるかもしれない。

◆ドラえもん
先週、強風と湿った雪で、駐車スペースの上のカラマツの枝が折れ、フロントグラスにヒビがはいるなど、車が破損した。そして、レンタカーを借りたら、同じ車種で色が黄色から青色のものになった。この話を聞いた近所の少年が「ドラえもんみたいだ」と言った。別ストーリーがいくつかあるようだが、もともと黄色だったドラえもんが、ネズミに耳をかじられて青ざめたという話があるのだ。わたしの車は、カラマツに窓を割られて青ざめたのである。じっさいに青ざめたのはわたしだが。

◆折紙探偵団関西コンベンション
3/3-3/4の折紙探偵団関西コンベンションに、3/3だけ参加した。朝5時前に家を出て、日が変わって帰宅するという強行軍となった。講習したのはカナヘビ(尾の長いトカゲ)である。特別な工夫はない作品だが、無理なくかたちができるので、講習の前に何度か折るたびに、好きな作品になっていった。窓にはりつけて写真を撮ってみた。はりついていると、カナヘビというよりヤモリで、ヤモリにしては尾が長すぎる。
カナヘビ

ダイヤモンド格子連鶴(南 樹)
展示作品の南さんの「ダイヤモンド格子連鶴」。この展開図はどうなっているのか?

3/2の移動の新幹線ではダン・ブラウンさんの『オリジン』を読んだ。登場人物のカーシュは、リチャード・ドーキンス氏やケヴィン・ケリー氏(『Wired』や『テクニウム』のひと)が憑依している人物であった。いつもどおりの「観光案内つきクリフハンガー(連続活劇)」なのだが、「強い無神論者」の主張を扱うなんて、肝が座っているなあ、映画化たいへんなんじゃないか、などと。

で、『オリジン』は、ロバート・ラングドン教授だけれど、以下は、ロバート・ラング博士である。
"Twists, Tilings, and Tessellations"

数日前に、彼の『Twists, Tilings, and Tessellations』が届いた。題名のとおり、テセレーション(連続模様)の折り紙をメインテーマに、その設計法を記した分厚い本である。テセレーション的な折り目の造形への応用として、わたしの孔雀が載っているほか、平坦折りの定理の話などが関係している。

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