『○△□』など2017/02/06 21:07

◆数学少年を描いた映画・『僕と世界の方程式』(モーガン・マシューズ監督)。
まだ観ることができていないが、予告に、6-7才の主人公が直角二等辺三角形のお菓子を正方形に並べているシーンがあり、これだけでぐっときた。

◆ふとした会話で、数学って、ほんとうに嫌われているんだなあと思うことがある。数学が可哀想になる。まあ、数学を擬人化して可哀想と言うのも変である。そして、擬人化したとしても、同情されるような甘いものでもない。わたし自身も、残念ながら、数学に深く愛されていない。「学問のなかでの最たるこの美女にほれこんだ失意の男」(ポール・ヴァレリーの言葉)である。

◆仕事場の机の横に、何枚か絵葉書が貼ってある。その中に、仙厓義梵の書『○△□』がある。四角が、正方形ではなく、1対√2の長方形に近い(図の赤い線参照)ことが、以前から気になっている。『本格折り紙√2』の表紙か扉絵は、これにすればよかったかもしれない。
『○△□』

◆数ヶ月前、『数学セミナー』の連載で、ニューヨーク州のノースポート公共図書館にある、George W. Hart氏の「Millennium Bookball」という彫刻をとりあげた(2016年9月号)。

菱形三十面体の60個の辺に、60の本のオブジェの背を接続した、直径約1.5mのみごとな彫刻である。それぞれの本には、ちゃんとタイトルが刻印されている。同図書館の利用者が1999年に選んだ20世紀の本ベスト60の投票結果だそうだ。

『1984』と『すばらしい新世界』が、アメリカでよく売れているというニュースを聞いて、この彫刻を連想した。リストに、オーウェルの『1984』、ハクスリーの『すばらしい新世界』、ブラッドベリの『華氏451度』が含まれているのだ。

上記リストは1999年のものなので、世紀末の不安感の影響もあったのだろうが、現在これらの本が切実に読まれているというのは、それ自体が、なにか小説の世界の話のようである。
問題:ディストピアでは、ディストピア小説は読まれるだろうか?

カタツムリなど2017/02/14 22:09

◆几帳面
わたしは、几帳面なところがある。ただ、どうも肝心なところが抜けている。

ちなみに、「几帳面」は、もののかたちから来た言葉である。几帳(とばりを垂らす家具)の柱につけた細工のことで、より一般的に、木材の辺の面取りの名称となっている。面取りには、丸面、角面などのほか、銀杏面というものもある。ただし、イチョウメンではなく、ギンナンメンである。
几帳面など

◆カタツムリ
最近、動物など具象物の折り紙作品をあまり創作しておらず、講習会向けの未発表作品を考えて、ちょっと困った。幾何作品ばかりだとバラエティーが乏しくなってしまう。ちょうど螺旋の造形を考えていたので、気分転換してカタツムリに応用したら、なかなかかわいらしい作品ができた。
カタツムリ

◆デュアルモジュール多面体
最近の幾何作品のお気にいりは、対称性のあるふたつの部分を組み合わせる立体である。とくに十二面体の、atan(1/√6)=22.2...≒22.5=90/4という近似が面白い。
デュアルモジュール多面体

高橋由一『豆腐』など2017/02/15 23:37

◆絵葉書
絵葉書

仕事場に貼ってある絵葉書は、仙厓義梵『○△□』のほかに、以下である。

◎デューラー『メレンコリア §I』
部屋に、なんでもひとつ本物を飾ることができるということになったら、これだ。

「私は大きな丹精をこめて描きました。... 貴下がそれを綺麗に保存されるなら、それは五百年間美しく瑞々しく保つことを確信しております。... 一五〇九年バルトロマイの日の後の日曜日、ニュルンベルグにて アルブレヒト・デューラー)
(デューラー『自伝と書簡』前川誠郎訳 より。ただし、油絵の保存について書いたもの)

◎フェルメール『天文学者』
好きな絵というより、天文台の仕事をしているから、ということである。

並べてみると、デューラーの『メレンコリア §I』と構図が類似していることがわかる。『天文学者』には対になる『地理学者』という絵があり、その絵の中の人物は、『メレンコリア』の天使と同様、コンパス(ディバイダ)を持っている。この「対幅」は、フェルメールによるデューラーへのオマージュなのではないか。...という説は聞いたことはないけれど、ともに遠近法の巨匠であり、約100年あとに生まれたフェルメールが、デューラーを尊敬していた可能性はある。オランダ語とドイツ語は似ているので、フェルメールはデューラーの『Unterweisung der Messung(測定法教則)』を読んでいたのではないか。などとも。

◎高橋由一『豆腐』
讃岐の金毘羅宮の高橋由一館にある絵である。金毘羅宮に行ったさいに見そこねてしまったので、本物は見ていない。これの本物を見るのが、新潟県の栃尾に行って揚げたての油揚げを食べることなどと並んで、将来の夢のひとつである。

この絵の油揚げの縦横比はだいたい1対2であるが、関西では正方形のものが多い。このことにより(?)、油揚げを二等分してつくる稲荷寿司も、関東では四角、関西では三角が主流になっている。由一は江戸・東京のひとなので、この絵の油揚げも長方形なのだろう。なお、栃尾のものは、縦がより長い。そもそもあれは、油揚げというより、厚揚げである。
いなり寿司の幾何学

◆フィボナッチ
フィボナッチ
13までのフィボナッチ数列を折ってみた。
1, 1, 2, 3, 5, 8 である。8は正方形になっていない。

2回折ってひろげた紙など2017/02/22 22:09

◆『折って楽しむ折り紙セミナー』最終回
2月12日発売の『数学セミナー』3月号で、『折って楽しむ折り紙セミナー』の連載が終了した。当初1年の予定の連載だったが、4年になった。月刊の連載というのは簡単ではなかったが、たのしかった。読者のイメージを数人思い描いていたが、そのひとりは、高校生ぐらいのわたし自身だった。

◆2回折ってひろげた紙
2回折ってひろげた紙
折り目のついているポスターを見ていて、2回折って広げた紙の折り目のかたちが気になった。これは4つの錐面の連結である。2回で折るのではなく、4本の折り目を同時に動かしたときの錐面の変移を、すこし考えた。