台風が来て、夏が終わった感じが強い。
◆シン・ゴジラ
・「例のネタ」自体より、エンドロールの三谷純さんの名前に驚いた。
・丸子橋、多摩川浅間神社、そして、吞川。東京西南部育ちとして親しみある地名だった。
・庵野秀明さんの長編作品は、じつは初めて観た。
・これが深読みしたくなる作風かと感心したが、都合のよいメッセージを受信してしまうひとも多そうだ。
◆穂高明さん
面識を得て、
『月のうた』、
『夜明けのカノープス』など、作品を次々に読んだ。理科系ネタの隠し味もよいが、「友がみなわれより偉く見え」てしまう気分のときに寄り添ってくれるような、屈折をかかえていた登場人物たちの造形が一番の持ち味だ。
◆『The Man Who Knew Infinity』
10月に日本でも公開される、ラマヌジャンの伝記映画『奇蹟がくれた数式』(The Man Who Knew Infinity)が、楽しみだ。『数学セミナー9月号』の表紙のエッセイ(熊原啓)によると、ラマヌジャンのタクシー数こと、1729のエピソードもでてくるらしい。
◆1729
1729が出てくるといえば、数学少年少女を題材にしたライトノベル
『青の数学』(王城夕紀)もそうだった。ん?というところもあったけれど、数学少年少女が、野球少年などと並列されていて、奇人変人類型ではないところがとてもよかった。「だって人間の姿なんて美しくないよ。正多面体の方が美しい」と言う少年は、やや奇人変人クリシェだが、一芸のある少年、というか、少年というのは、そんなことを言うような気もする。
◆第22回折紙探偵団コンベンション(8/12-14)
年に一度のコンベンション。「キーウィ鳥」と「立方八面体骨格」の講習、「折り目による円錐曲線」という講義をした。また、吉野一生さん没後20年展示で、彼の「猪」を折った。吉野一生さん作品では、宮本宙也さんが『をる』に載った「鵺」を再現していたのに感心した。
今年の目玉は三浦公亮先生直伝のミウラ折り。国際大学折紙連盟の展示も充実し、ゲストのロベルト・モラッシさんとミシェル・ファンさんも対照的で面白かった。折り紙の世界は広がっているなあ、と。スタッフのみなさま、お疲れさまでした。
オークションで落札した中村和也さん提供の「折鶴」の掛け軸(中国の大道芸みやげ)は、机の前にかけた。
中村和也さんは、コンベンションのさいに、奈良の和菓子屋・たばやの「算額最中」も買ってきてくれた。店主の先祖が奉納した算額の問題の図がかたどられた最中で、3月の関西コンベンションで中村さんに会ったさい、「これ知ってる? たぶん、中村さんの家から近いけれど」と、話題にしたものである。
図の外側の円の直径を16、内接する大きい円の直径を9.6としたとき、残りの円の直径を求めよという問題だった。デカルトの円定理を使って自分でも解いてみた。補助線を使った初等幾何的な解きかたもすこし考えたのだが、そちらはどうにも糸口が見つからない。
◆『数理科学』の悪魔
コンベンションの懇親会で。『本の雑誌』9月号で、円城塔さんが「人生を変える数学パズル」と題して、
『完全版 マーティン・ガードナー数学ゲーム全集』を取り上げていましたね、という話を、上原隆平さん飯野玲さんらとした。上原さんと飯野さんは、同書の訳者と編集者である。
円城さんの書評の2ページ前では、若島正さんが古い安野光雅さんの表紙版の『マックスウェルの悪魔』(都築卓司)を取り上げていた。この絵は、わたしの「悪魔」のモチーフになった絵である。『マックスウェルの悪魔』の出版の何年か前に、雑誌『数理科学』の表紙に載ったのが初出である。
この件に関して、シンクロニシティーじみた話はまだ続く。天文台の図書室に『数理科学』のバックナンバーも揃っていることに気がついて、『数理科学』の「悪魔」はいつのものかなと、調べたばかりだったのだ(写真)。
最近のコメント