1ヶ月ぶり2013/12/04 22:20

ブログをまる1ヶ月更新していなかった。この間にも、いろいろあったはずだが、どうも、『鏡の国のアリス』の赤の女王の気分である。「同じ場所に留まるためにも、全力で走らなければならない」というあれだ。なにもかもが遅れている感じになっている。先日は、〆切日を見過ごしていて焦った。

一刀切り
上のURLにおいたのは、ひと月以上前の三鷹の国立天文台でのイベント「三鷹 星と宇宙の日」の野辺山観測所コーナーに置いた図である。紙を畳んで一回だけ一直線に切ってかたちをつくる「一刀切り」による「電波望遠鏡」だ。「一刀切り」は古くからある芸で、理論的には、目黒俊幸さんの研究、そして、あらゆる直線の輪郭からなる図形が一回の切断で切り抜き可能であることを証明したエリック・ドメインさんの成果などがある。最近では、『ひと裁ち折り紙』(山本厚生著)という本もでている。

「長さ千キロの破れた折り紙」と彗星
密かに(?)比喩としての折り紙を蒐集しているが、最近読んだ本に、こんなものがあった。
「イカロス衛星網が無事だろうと、ずたずたにされ、長さ千キロの破れた折り紙になって太陽に投棄されようと」
『ブラインドサイト』(ピーター・ワッツ著 嶋田洋一 訳)からの引用である。作中で「イカロス衛星網」というのは、太陽の近傍にあって、そのエネルギーで反粒子をつくるための装置である。「破れた折り紙になって」というくらいなので、大面積の膜状構造物らしい。お話の中で、太陽系の外縁まで飛行する宇宙船の動力は、粒子と反粒子の対消滅によるエネルギーである。反粒子は、太陽近傍でつくったものを量子テレポーテーションで取得しているらしい。「らしい」というのは、詳しくは説明されていないからで、SFにありがちだけれど、専門用語や疑似専門用語を、説明なしにつかう書きっぷりである。

太陽近傍の装置をイカロスと呼ぶのはいかにもだ。近日点通過で崩壊したアイソン彗星もイカロスに喩えられていた。

ちなみに、天文台の職員にも配られた日本天文協議会他主催の「アイソン彗星見つけようキャンペーン」のチラシにも、一応「特にアイソン彗星のような太陽に極端に近づく軌道を持つ彗星の場合、太陽に近づいた際に彗星本体が割れたり砕けたりして姿を消してしまう可能性もあります」と、小さく書いてあるのだった。