和算の問題から得られた折り紙の命題2011/09/04 17:27

 『数学文化』第16号 (日本数学協会)に載った、『芳賀折りと西山の定理の出会い』(五輪教一)を、五輪さんから送っていただいた。参考文献に、わたしが以前『季刊をる』に書いた『弘化二年のオリガミクス』というエッセイが挙げられているのだが、わたし自身、昨夏、その内容の一部を発展させて、『和算の問題から得られた折り紙の命題』(『折り紙の科学』創刊号)という論文を書いたばかりだった。両者の内容の一部が重なっていて、おおっとなった。わたしのものは「西山の定理」とは関連させていないのだが、このニアミスはびっくりだった。

 じつは「西山の定理」についても、その折り紙的な発展について、昨年7月、シンガポールで、川村みゆきさんの、その名も「偽両面折り紙」という作品から、川村さん、神谷哲史さん、中井努さんとの間で話題になり、もうすこしつっこんだ考察をして、連名でまとめたいね、みたいな話があったのだが、それきりになっていた。

ナデシコ多面体2011/09/08 22:35

ナデシコ多面体
切頂二十面体(サッカーボール多面体)の五角形をナデシコにしてみた。
すでに誰かがやっていそうだけれど。

ナデシコ多面体22011/09/10 00:21

ナデシコ多面体2
六角形の部分を五輪にしてみた。
サッカーボールに見えなくなったような気も…。

ステンドグラス工房“夢夢”2011/09/11 10:32

田久保康子さん作
 もう三週間前になるが、台ヶ原宿(北杜市白州町)の老舗和菓子屋・金精軒2Fにあるギャラリー○ヤ(まるや)に寄ったところ、第9回「街道に集う作家」展という展覧会が開催中で、田久保康子さん(ステンドグラス工房"夢夢")の多面体に惹きつけられた。多面体のステンドグラス工芸品は少なくないが、彼女の作品は、多面体への入れ込みの深さを感じた。この読みは当たっていて、彼女は、『ステンドグラスの多面体』という手作り冊子をつくっている多面体好きなのであった。正多面体、半正多面体の他、座屈円柱(PCCPシェル)状のランプもあった。

 二十・十二面体の器(写真)を購入した。PCのディスプレイを照明にして、写真を撮ってみた。

ヤギの目とMacのボタン2011/09/15 01:11

ヤギの目とMacのボタン
ヤギの瞳は横長の長方形だ。猫は縦長で、ヒトは縮瞳しても円である。(なお、見たことはないが、夜になると、ヤギの瞳も猫と同様に丸くなるらしい)

このヤギの瞳が、MacOSの最小化ボタンにそっくりであるということに、さきほど、気がついたのである。

MacOSのウィンドウ左上にあるボタンは、赤・黄・緑と、信号のように並んでいる。これにカーソルをもってくると、そこに記号が現れる。Xと-と+である。まんなかの最小化(ドックにしまう)ボタンにマイナス記号が表示されたときが、まさにヤギの目なのだ。

ヤギに「会う」たびに、その目を「どこかで見た」ように思っていたのだけれど、胸のつかえがおりた。めでたし、めでたしだ。
(写真のヤギは、北杜市高根町東井出にあるengawa cafeの看板ヤギ・「はな」ちゃん)

穴の開いた包み紙を閉じる-ふたたび2011/09/17 10:43

穴の開いた包み紙を閉じる
二年ぐらい前に、穴の開いた包み紙を閉じるということをやって、かなりきれいな構造のものができた。

穴あきシリーズは、雪華箱など、ほかにもできたのだが、今回のものは、趣向がすこし違っている。

これまでのものは、紙の裏と表がまったく同じに現れる「表裏同等構造」になっていたのだが、今回の正四面体タイプのものは、そうではない。閉じかたは、わかりやすくなった。

『本格折り紙√2』誤植2-1(蜂の巣の末端)2011/09/17 19:18

蜂の巣
73ページ
蜂の巣は、ロウを最も節約する構造であり

蜂の巣は、ロウを節約する構造であり

『本格折り紙√2』の作品に頻出するマラルディの角度(約109.5度)に関連する話題として、上記のように「蜂の巣は、ロウを最も節約する構造」と書いたが、『かたち-自然が創り出す美しいパターン』(フィリップ・ボール著 林大訳)によって、以下のことを知ったので、「最も」を削除する。

蜂の巣に見られる、閉じた六角柱の束が背中合わせになる場合の隔壁の最小面積は、六角柱の中心軸が反対側の六角柱の辺に合う、といった条件下では、マラルディの角度を持つ菱形になるが、違う条件では、かならずしもそうではない。


『かたち』で触れられた、この点に関する内容を要約すると、以下となる。

1964年に、数学者ラースロー・トートが、この問題の「解の可能性の範囲を広げ、正方形と六角形の面からなるもっと精巧な構造のほうがほんのわずかだけ表面積が小さいことを発見した。」 ケルビンの十四面体の部分を使った構造である。

物理学者デニス・ウィアとロバート・フィーラン(北京オリンピックの水泳会場・ウォーターキューブの構造の元になった空間充填多面体を考え出した学者である)が、断面が六角形になる泡による境界は、境界面の厚さにより、ケルビンパターンとマラルディパターンの2種類で安定することを示した。


なお、同書には、マラルディの名がでてこず、この菱形の角度の問題について、生物学者・ルネ・レオミュールが問題を立て、数学者・サムエル・ケーニッヒが、できたばかりの手法であった微積分をつかって解いたと記されている。
この点については疑問に思ったので、わたしが「蜂の巣問題」を知った本であり、『かたち』においても、主要な文献となっている古典・『On Growth and Form』(D'Arcy Thompson)にあらためてあたってみた。『On Growth and Form』には、邦訳(『生物のかたち』(柳田友道他訳))もあるが、抄訳であり、全文はGoogle Booksで読める。同書の記述をまとめると、以下である。

最大最小という概念を原理として問題をたてたのがレオミュールで、それを解いたのが、ケーニッヒである。それより以前に、マラルディが、「単純さと数学的な美しさというふたつの原理」によって計算した。
(2014/03/27 修正)

テトラシリーズ2011/09/19 10:18

テトラシリーズ
昨日一昨日は、ひさしぶりに、ぼんやりと、読書して散歩して自由に折り紙を考えた。

写真は、そんな二日でできた、穴の開いた包み紙を閉じる-ふたたび の関連作品だ。

◎写真上段は、「穴の開いた... 」と同じ用紙を使ったパズルである。
問題1:この用紙で、裏を出した正四面体をつくりなさい。(写真左)
問題2:この用紙で、一面だけ紙の裏を出した正四面体をつくりなさい。(写真右)
問題2.1:同じ外見の異なる折り目のものをつくりなさい。

◎写真中段は、「穴の開いた...」より前にできた、正三角形用紙をつかったモデルである。そもそも、これらの作品は、次のような過程で生まれた。
・飾ってあった川村みゆきさんの「チェッカーランタン」が目にはいり、用紙を正三角形化することで、正八面体か切頂四面体のユニット作品ができるのではないか、と思いついた。
・エレガントなユニットはできなかったが、正三角形用紙はあまり手をつけたことがなかったため新鮮で、素直に折るだけでいくつかきれいなかたちを得た。写真の「無限正三角形畳紙」と「正八面体」がその例だ。すでに誰かがやっていそうだが、正三角形用紙自体が珍しいので先例はないかもしれない。

◎これらを発展させて、折り紙らしくした作品が写真下段である。命名、「オクト薔薇」と「テトラ薔薇」。ここで「折り紙らしく」というのは、正方形用紙にしたことを意味している。それぞれ8枚、4枚組で、1モジュールの構造は、「穴の開いた... 」の穴を閉じたかたちに似た、特殊な六角形を正方形に内接させたものだ。組みかたの非対称性がすこし気に入らない。

ユニット貼り紙など2011/09/22 00:20

ユニット貼り紙など
ゆるくふたつ折りになった菱形6枚を使って、穴の開いた正二十面体をつくってみた(写真上)。わずかな糊しろで貼ってある。名付けて、ユニット貼り紙。写真右上のようにランプシェードにしても面白い。

構造としては、バックミンスター・フラーのジタバッグ(正三角形8枚の頂点をヒンジでつないだ、正八面体→立方八面体→正八面体と可動する立体)の反転のようなものになっている。ジタバックは三角形が板で「四辺形」が穴だが、これは、その逆である。三角形は、辺の長さで一意に決まるが、「四辺形」はそうならないので、ジタバッグは可動なのだ。なお、ここで「四辺形」がかっこつきなのは、このモデルがまさにそうであるように、平面にならないものを含むためである。

似た構造を使った、正三角形用紙による、4枚組の穴の空いた正二十面体と、同じモジュールによる正八面体もできた(写真下)。これは、かなり美しく組める。

昨日は、台風で、やや早めに帰宅し、「貼り紙」と折り紙をやっていた。八ヶ岳南麓は、台風が近くを通過した割には、風はさほどでもなかったように思ったが、倒木で塞がれた道もあった。

黄金長方形からの立体2011/09/23 20:26

黄金長方形からの立体
中村義作さんによる、黄金比(φ≒1.618)の長方形の三枚組みはみごとだ(写真上)。黄金長方形に鍵型の切れ込みいれて、XYZ軸のように組み合わせる。きれいに安定し、12個の頂点を結ぶと、正二十面体になる。

仕事場の机に、名刺(黄金長方形である)の三枚組による、この立体を置いてある。それを見ていて、名刺に付加部分を与えて、二十面体の稜をつくることができないかと考えた。その造形もまあまあうまくできたのだが、そのときに使った用紙形を試すうちに、もっとエレガントな立体ができることがわかった。 写真中段の立体がそれである。組みあがるまではひじょうに不安定だが、完成すると安定する。面白いのは、内部の空間が正十二面体になっていることだ。全体として、ケプラーの小星型十二面体にひじょうに近いかたちなのである。

写真下段は、この立体を、より小星型十二面体に近づけてみたものである。