グーテンベルグ=リヒターの法則2011/04/29 16:55

グーテンベルグ=リヒターの法則
 「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第41報)から、マグニチュード別の余震の回数を、縦軸を対数目盛にしてグラフ化したところ、地震の大きさと回数の関係がべき乗になるという、グーテンベルグ=リヒターの法則が、かなりきれいなりたっていた。M9が1回、M7の桁が5回、M6の桁が75回、M5の桁が435回である。じっさい、こんなにきれいに法則性があるのだと、妙に感心してしまった。

 2年ぐらい前に読んだ、『歴史は「べき乗則」で動く』(マーク・ブキャナン著 水谷淳訳)という本には、こんなことが書いてある。
 ジャガイモの破片の山におけるスケール不変性(引用者注:凍ったジャガイモが壁にぶつかって破壊された場合の小片の大きさとその個数の関係は、重さが倍になると数が1/6になるといった法則にしたがい、典型的な大きさ、平均的な大きさというものはない)は、大きい破片は小さい破片を拡大したものにすぎないことを示している。すべての大きさの破片は、あらゆる大きさで同じように働く崩壊過程の結果として生じる。グーテンベルグ=リヒターの法則は、地震や、地震を発生させる地殻で起こる過程についても、同様のことが言えることを示している。地震のエネルギーはべき乗則に従うので、その分布はスケール不変的になる。大きな地震が小さな地震とは違う原因で起こると示唆するものは、まったく何もないのだ。大きな地震が特別なものである理由がないという事実は、小さな地震を引き起こすものと大きな地震を引き起こすものはまったく同じであるという、逆説的な結果を示している。(略)グーテンベルグ=リヒターのべき乗則から考えて、巨大地震を予知する計画が実行可能であるとはとても思えない。

したがって壊滅的な地震は、事実上まったく理由なしに発生する。そのような地震がなぜ起こるかなら説明できる。地殻が臨界状態に調整されており、大変動の瀬戸際に立っているからだ。しかし、一八八一年のニューマドリッドの地震があんなに大きかったのかを説明するには、地震の発生後になって、どの岩石がどの順番で滑ったかという物語の形で語る以外に方法はない。

巨大地震は、どんなときにでも、どんな断層帯でも起こりうる。コロンビア大学の地震学の専門家クリストファー・ショルツは、次のような独創的な言葉を記した。「地震は、起こりはじめたときには、自分がどれほど大きくなっていくか知らない。地震に分からないのなら、我々にも分からないだろう」。
 上掲書には、断層の構造にもフラクタル構造があるということが紹介されている。断層の長さが半分になると、その数は7倍になるのだそうだ。小さな地震と大きな地震に違いはない。これはやっかいな話だ。唯一、ある程度の予知、前兆現象の観測が可能であると言われている東海地震であるが、火山の噴火のような前兆現象の観測は難しいということなのだろうか。

 話はつながるようで、ずれているが、以下、折り紙の統計現象の話である。
 紙にランダムにつけたしわには、スケール不変性、フラクタル構造があるが、以前、折り紙作品の工程数と作品数に、統計的な傾向がないかを調べようとしたことがある。調査が面倒なので挫折したが、これは、ベキ乗則ではなく、特定のピークがいくつかある正規分布の重ね合わせになると思われた。

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