四角の中の五角 その42011/02/14 22:49

(1)近似値
 記憶だけで検討していた、『四角の中の五角』であるが、オリジナルの確認をしていなかったことに気がついた。『彫刻家 堀内正和の世界展 図録』(2003年11月)で確認したところ、オリジナルは近似を使っているようだった。
 写真を読み取ると、正三角形の面に、各辺を八等分した斜めの格子が描かれていて、切断面がその格子点に基づいているようなのである。つまり、黄金比φ=(1+√5)/2=1.618..ではなく、8/5=1.6、5/3=1.66..という値を使っている。

(2)五面体
 正四面体には正方形の切断面があり、立方体(正六面体)には正六角形の切断面がある。そして、五つの面を持つ立体・四角錐には正五角形の切断面がある。このことから浮かぶ問いは、もうひとつの五面体である三角柱(五面体はグラフ的には2種しかない)からも正五角形の面が切り出せるだろうか、というものだ。しかし、残念ながら、これはできないのであった(きちんと証明はしていないけれど)。

(3)無理数の近似における「7」
 (1)に関連した話である。無理数の近似といえば、次のようなものがある。精度にばらつきはあるが、みな7を使っているのがクールだ。

√2 ≒ 7/5 ≒ 10/7
√3 ≒ 7/4 ≒ 12/7
自然対数の底 e ≒19/7
円周率π≒ 22/7

 √2≒7/5や、√3≒7/4は、折り紙で使ったこともある。使う機会はあまりなさそうだが、上の式から得られる e≒1+√3と、π≒√2+√3いった式も、ちょっと面白い。
 いっぽう、黄金比φには、7を使ったよい近似がない。黄金比の近似は、フィボナッチ数列の2項の比で表せるが、この数列に7はない。(フィボナッチ数列:1,1から始めて、2項の和を次の項にする:1,1,2,3,5,8,13,..)
 √5ならば、φ≒5/3から、√5≒7/3と、「7がらみ」の式も得られるが、これはちょっと精度が低い。