新月旗2011/01/29 17:37

新月旗
 灯油を節約しようと、ここ数日、就寝時は暖房を切っていた。外は零下10度である。一昨日、寒さのためか、夜明け前にふと目が覚めた。外が妙に明るく、あれっと思うと、月齢23の下弦をやや過ぎた月が輝いていた。寒月(かんげつ)、凍月(いてづき)という言葉を思い浮かべた。半月からさらに欠けていても、月というのはけっこう明るいのだ。満月ともなれば、本が読めそうなぐらいになる。また、案外気がついていないひとが多いが、太陽とは逆に、月は冬のほうが高度があるので、よりその光を感じる季節でもある。木の間隠れに、月のそばに見えた星は、金星とさそり座のアンタレスのようだった。

 明日1月30日早朝の月齢は25.5の二十六夜、いわば「逆三日月」である。月が金星に近づいていくことになるはずなので、トルコやパキスタンの旗のような、いわゆる「新月旗」の配置が見られるかと、なんとなく期待し、確認してみた。予想通り月と金星は近かったが、金星に対する月の向きがよくなかった。金星ではなく、アンタレスがよい向きにあるが、これはちょっと遠かった。

 新月旗のような細い月と明るい星という位置関係は、2001年の木星食のときがみごとだったが、近いところではいつごろが見頃になるだろうかと、調べてみたら、今年の7月28日早朝がけっこうよかった。月齢26の月と火星である(図左)。

 そして、新月旗がそもそもどうなっているのかを、きちんと見てみようと思ったのだが、これには興味深いものがあった。

 まず、月を使った国旗は、10余りあった。すぐに気がつくのは、どの月も、内側の弧が円弧になっていることだ。じっさいの月の内側の弧は、夜と昼の境が大円になり、それを斜めから見たものなので、楕円弧になる。リアルに描けばよいというものでもなく、なるほど、月というのはこういうふうに記号化するのが一般的なんだなと納得した。思い出したのは、往年の忍者マンガ『伊賀の影丸』である。忍者ものなので、夜のシーンが多いのだが、横山光輝さんの描く月がこういうかたちだったのだ。
 円弧の描きかたは、国によって微妙な違いもあった。たとえば、トルコ、アルジェリア、チュニジアなどの月の内側の弧は、半径が小さい「横山光輝風」であるのに対して、パキスタンやモルディブのそれは、より現実の三日月や二十六夜頃の月に近かった。

 星の位置や数もさまざまである。星の数はひとつのものが多いが、ウズベキスタンは12個、コモロは4つ、トルクメニスタンは5個である。この5という数は州の数だそうだが、すばる(プレアデス星団)もほうふつとさせた。すばるはほぼ黄道上にあるので、じっさいに月と近接することもある。細い月とすばるの接近は、近いところでは、4月7日であった。月齢は約3で、すばると月の角距離は数度である(図右)。

 星の位置も、月の欠けた部分の上にあるものとそうでないものがあり、月の向きにも違いがある。単に右向き左向きだけではない。パキスタンの国旗は、星の位置でいえば、月の欠けた部分にあり、写実ではないのだが、月の向きは、意図したものなのかはわからないが、リアルであった。やや斜めに、受け皿のような向きに描かれているのだ。低緯度地域においては、細い月はそういう向きになる。月が細くなるのは、地平線のすぐ「下」に太陽があり、その「上」に月があるような位置関係のときである。三日月は、太陽を追うように沈んでいき、二十六夜頃の月は太陽に追いかけられるように昇っていく。低緯度地域の太陽の軌道は地平線と直角に近くになるので、細い月は受け皿の向きになるのだ。

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