『綺想宮殺人事件』2010/07/25 11:36

 先日の会議出席のさいの飛行機内読書は、『綺想宮殺人事件』(芦辺拓著)だった。芦辺さんの本は半分ぐらい読んでいる中途半端な愛読者だけれど、今作は、店で手に取ってみると、参考文献に、多面体好きおもわずニヤリの、宮崎興二さんの『プラトンと五重塔』(入手困難本なのでネタばれにならないと思う)や『多面体と宇宙の謎に迫った幾何学者』(シュボーン・ロバーツ著 糸川洋訳)があり、わたしにとってこの20年で最高の痛快本とも言える『「知」の欺瞞』(アラン・ソーカル、ジャン・ブリクモン 著 田崎晴明他訳)もあがっていて、「ほら、読みなさい」と言われているような本なのであった。
 往路の機上で読み終えた。探偵小説愛があふれる怪作だった。

 同書の「テーマ」は衒学。
 衒学とそうでない知識との違いというのはなんだろうなどと考えた。そこに書かれたこと以上のことはなにもない「ただのネタ」であることが見え透いたときに、衒学臭が漂う。かといって、特に深さはなくても、「ただのネタ」ではないなあと思うこともある。どう見ても我田引水のこじつけ論法でも、あるいは、スノッブのエグミを感じても、文章を読む楽しみがあふれることもある。その違いはいずこに。対象への愛(!)かな…。

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