お稲荷さんの世界展2010/05/30 11:24

お稲荷さんの世界展 図録
 前にも書いたように(これこれ)、稲荷神社が好きなので、先日、府中郷土の森博物館の企画展『お稲荷さんの世界』を観に行った。稲荷という民間信仰にテーマをしぼった、いままでに例を見ない画期的な展示だ。

 というように、するべきことの山を横目に、散歩や物見遊山を欠かさない生活をしているわたしだが、その道楽行動の甲斐もあってか、スモールワールド(世界は狭い)現象のヒット率にも恵まれていて、ここでも、思わぬ出会いが待っていた。受付に、そして、展示物に、京都山科・折上(おりがみ)稲荷神社の狐のお守りがあったのだ。
 これは、前にも書いたけれど、以前、わたしが「オリガミ」という名を持つ神社ということで参拝し、折り紙の狐を奉納、その後、その折りかたを宮司さんに伝え、同社のお守りとなった、というものなのである。
 自己主張というほどでもないが、こういうときには名乗りでたほうが面白かろうと、財布の中にあったレシートで同作品を折り、「じつは、わたしはこれこれこういう者で、これがオリジナルです 云々」などと言って、受付の女性に渡した。
 その後、他の展示物などを観たあと(もうひとつの企画展示・江戸の柄鏡(柄のついた金属製の鏡)に折鶴模様のものがあることも(資料文献で)発見!)、ふたたび受付の前を通ると、この展示を企画した学芸員さんに声をかけていただき、話をする機会に恵まれた。同博物館の以前の企画展「宮本常一の足跡」のキュレーターもされた、民俗学研究者だった。機会があれば、またお話をうかがいたい。

 宮本常一さんと言えば、次の言葉を折りにふれて思い出すのだが、今回のわたしの行動は、これに反してはいない…よね。
「舞台で主役をつとめていると、多くのものを見落としてしまう。その見落とされたものの中に大事なものがある。それを見つけてゆくことだ。人の喜びを自分も本当に喜べるようになることだ。人がすぐれた仕事をしているとケチをつけるものが多いが、そういうことはどんな場合にもつつしまなければならぬ。また人の邪魔をしてはいけない。自分がその場で必要をみとめられないときはだまってしかも人の気にならないようにそこにいることだ。」
(渋沢敬三さんが宮本常一さんに述べた言葉 『民俗学の旅』宮本常一著)