立方本(≠立方体) ― 2010/02/20 00:36
これを見ていて、そうか、正方形の本が三冊あれば立方体ができるのかと…。なにより、体という字と本という字が似ているので、立方体ならぬ、立方本というタイトルが、ツボにはいってしまった。あいにく、同じ大きさの正方形の本などないので、折り紙の本でつくってみた。
針金細工→九の図形→呪符 ― 2010/02/21 01:45
また、9と言えば「九字」があった。以前の書き込みでも触れたが、「前」という字は、九画であることから、九字も意味する。なお、九字「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」の最後の文字も「前」である。
そして、そのときにも気がついたのだけれど、「前」の字は、単に九画であるだけではなく、九字の印の中に隠れている。
ここで、わたしの思考は、いつものようにずれてゆき、九字が「前」なら、九字と並ぶ護符である五芒星を漢字に当てはめると、なにになるかと考えはじめてしまった。
これは、「永」の字が相応しいということに決定。それぞれの筆運びを、陰陽五行の青(緑)・赤・白・玄(黒)・黄に対応させると、実にもっともらしい。「永」という字は「永字八法」で知られる特別な文字だし、いま思いついたわりには、ほんとうに昔からあった呪術のようである。
などと、今日も夜更かしをしているのだった。
キューブパズルの工作 ― 2010/02/22 23:22
このパズルに関して、キューブに関するパズルだけを集めた、秋山久義さんの『キューブパズル読本』や、世界的パズルデザイナーのStewart T. Coffinさんによる『The Puzzling World of Polyhedral Dissections』といった本などをあらてめて確認したが、前例はなかった。
(追記:2/25:と思ったら、なんという注意力散漫、『キューブパズル読本』に土橋創作さんのアイデアとして、掲載されていた。しかも、海外でプラスティック製で商品化されたとのこと。残念)
パーツ作製のルールがきれいなので、思いついたひとは他にいても不思議はない。そして、ソーマキューブと同程度に難しいという「よい問題」なのだが、製作の面倒さがネックになる。
(なお、『The Puzzling World of Polyhedral Dissections』という本は、 このサイトで全文が読める。久しぶりに本棚の奥から引っ張りだしたこの本には、1年前このブログで話題にした、古代ギリシアの「知恵の板」・ストマキオンのことも載っていた。忘れていたというより、通読していなかったということだ)
九点星のロウソク立て ― 2010/02/23 21:44
三角錐状の突起が、上下に三つずつ、四角錐状の突起が横に三つで、合わせて突起が九つとなる。中央はロウソクを立てるスペースで、下部も基本的には同じ構造になっている。
このかたちの基本になる立体として、図右上にあるような、三角形8個、四角形3個の立体が考えられる。しかし、この図面にはごまかしがあるのがわかるだろうか。三角形をすべて正三角形として、「側面」の「四辺形」の辺(稜)と辺(稜)のなす角度がすべて等しくなる場合を計算すると、それは約88.2度になる。直角ではないので正方形ではないわけだが、そもそも、正方形でなくても、あらゆる四角形の内角の和は360度である。これはどういうことか。
答えは、わかってしまえば簡単である。一般に、三本の線分を連結した図形は三角形になるが、四本の線分を連結した図形は、必ずしも平面図形である四角形にはならない。この4本の線分は、図右下の赤い線ように、菱形をかるく折ったようなかたちになっていて、平面図形ではない。
なお、この「十八辺体」は、針金の一筆書きでつくることができる。奇妙なかたちだが、五角形に見える角度があるので、五芒星を表現するのに向いている。
イヌクシュクのピンバッジ ― 2010/02/24 23:15
そして、今大会のシンボルマークになっている、石のメッセンジャー・イヌクシュクには、このブログでも何回か触れたが、強い興味がある。2年半前にバンクバーに行ったさいには、ピンバッジも買った。2年前からオリンピック関連ものとして売っていたのである。
あまり追いきれていないが、オリンピックを機会に、イヌクシュクに関する情報が増えてきたのはうれしい。
1年半前に開通した京阪中之島線渡辺橋駅(大阪市北区)に、イヌクシュク記念碑なるものがあるらしい。今度関西に行ったときに見てこよう。
7セグメントディスプレイ→折紙数字 ― 2010/02/25 23:36
で、気を取り直して(?)今日は、また、違う話題。
今回は、『数の文化史』(K. メニンガー著 内林政夫訳)にあった、「ヤコブ・ロイボルトによるインド数字の空想的な説明」という図から始まる話である。
インド数字の流れを汲む、現代の数字、いわゆるアラビア数字は、単純でありながら、きわめて視認性のすぐれた記号である。見なれていることを割り引いて考えるべきだが、6と9が図形としては同じであることぐらいしか、とりあえず「改善点」は思い浮かばない。そして、上に模写した、ロイボルトというひとの図は、数を表す指のかたちを抽象化した、といった説明に使われた図の一部なのだが、その意図するところを離れて、数字の抽象性の美しさを強調するかたちになっている。
本の文脈から外れて、この図からわたしが連想したのは、LEDや液晶などで使われている「7セグメントディスプレイ」の数字だった。これも、すくない要素で数字記号を表現したみごとなデザインである。
わたしの少年時代には、ネオン管の中に数字のかたちをした陰極が重なって格納され、それのいずれかが発光する、ニキシー管というものがあったが、その後、それは、7セグメントディスプレイにとって代わられた。なお、見なれているので、違和感が薄れているが、最初に見たときには、「4」が変だなと感じたことを覚えている。こどものわたしには、「4」は三角のイメージだったのだ。
ここで、7セグメントディスプレイが使われ始めた時代になったつもりで、セグメントの数を減らせないかを考えてみたい。24=16なので、最低限、セグメントは4個でよいことになるが、ここでのテーマは、数学というより、デザインである。
そのデザインの前に、触れておきたいことがある。じっさいに遭遇することのある、セグメントの少ないケース、つまり、セグメントが数個壊れた機器の表示である。このような壊れた7セグメントディスプレイでは、以下のパズルが考えられる。
前提として、どの数字のときも同じセグメントが「壊れて」いるとする。じっさいは、内部回路により、そうはならないようだ。(今日、そういうもの(写真)をちょっと観察してみた)まあ、それはおいて、問題は以下である。
7セグメントディスプレイのどのセグメントが欠けると9種類の数字の識別が不可能になるか。
これは、数え上げの練習問題として、良問だろう(これも、前例ありそうだが)。詳細は略すが、それなりの時間のかかった解答は以下である。
1個欠けてOKなのは7種のうち5種で、2個の場合は42種のうち3種である。ただし、ある数のときに完全に消灯する解も含む。そして、3個以上となると、どんな組み合わせでもだめになる。(以上、間違いないはず)
さて、パズルで頭ならしをしたあとは、セグメントを減らし、それをなんとか数字に見える記号にするというテーマである。
セグメントが交差することをよしとして、「隅立て」の正方形とその対角線からなる6セグメントによるものを考えてみた。これは、なかなかのデザインではないか。そして、なにより、正方形の紙を折ることでも表現できるものになっているのだった。悩ましいのは、やはり6と9だ。折りかたが同じになってしまうのである。これは、折り目を逆にすることで回避することにしよう。実用的には、もっとわかりやすいものも考えられるが、これはこれで、暗号ミステリのネタのようだ。
このように、紙を折って記号を示すことでは、点字以前の盲人用の文字で、紙の端の折りかたによって文字を表す「折紙文字」なるものがじっさいにあったということが知られている。(筑波大学附属盲学校資料室の文書参照) なお、いま考えた「折紙数字」、盲人の場合、紙の裏も表もわからないじゃないかと思うかもしれないが、9は裏に折ることで、6と鏡像になり、かたちが違うことになるので、問題はないのである。
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