得意技のことなど2009/08/28 00:13

新型電波望遠鏡
 なにかひとつの特技があって、いざとなるとそれを発揮するというのは、エンターテインメント作品の王道だ。誰もがヒーロー・ヒロインになれるというパターンである。先日観た映画『サマーウォーズ』(細田守監督)もそうだった。
 じっさいでも、そういうケースはちょっと燃える。たとえば、エンジニアとしての最大の「見せ場」はトラブルシューティングである。首尾よくトラブルが解消できたときは、素直にうれしく誇らしい(トラブルの原因が自分のつくったものだと別だけれど)。
 折り紙でも、新しい理論の構築や事実の発見・作品の創作というのは、研究者・作家のよろこびだが、講習会などで、さっとリクエストに応えられたときなどの充実感はそれに匹敵する。先日の講習会で、詳細はいまもって謎なのだけれど、「ハワイの貝殻」がほしいという子がいて、巻貝と二枚貝を即席で折ったところ、一応納得してくれたみたいだった。

 というわけで、特技、得意技は持っているに越したことはない。しかし、ひとの価値というのは、そういう「なにができるか」ではなくて、「いつもにこにこしている」とか「誰にでも同じ態度で接する」「なんだか、話すと楽しい」ということのほうにあると、最近はしみじみ思うのである。逆に言えば、人間の「うつわ」でひとを微笑ませることはできそうもない、と省みて思ったら、得意技によって頑張るしかない。

 今日は、観測所公開日の七夕短冊の片付けもしたのだが、当日は気がつかなかった「わにがかえますように」という願い事を発見した。「おひめさまになりたい」とどちらが実現性が高いだろうか。そうした願いを見ると、子供はみんな「うつわ」が大きいとも思う。

 さて。『サマーウォーズ』は、評判に違わない、佳品だった。つっこみどころは多いけれど、それが多くできるのが、よい作品の条件のような気がしないでもない。たとえば、長野県上田市で納品を待っているスーパーコンピュータとはなんだろうかという疑問が涌いた。信州大学繊維学部か? しかし、そこでスパコンを使う目的はなんだろう。布のしわのつき方の高解像度シミュレーションとか。おおっ、ちょっと折り紙の科学じゃないか。すごいぞ、信州大学繊維学部。って、妄想だけれど。はたまた、臼田宇宙空間観測所とか。映画中に「はやぶさ」をモデルにした「あらわし」も出てきたし。いや。もしかして、ちょっと遠いけれど、野辺山観測所か。まあ、じっさいは、地元電器店が納品ということはないよねえ。
 数学少年がヒーローというのもよかった(暗号解読のディテイルなどにつっこまないのが大人の態度というものである)。先日、野辺山観測所で観測実習があったさい、ある学生を「なんか、数学オリンピックにでそうな感じ」と評しているひとがいたが、この映画を観ていたかのかもしれないなどとも思った。

 以上の話とはぜんぜん関係なく、昨日ちょっとひらめいて、新型折り紙電波望遠鏡ができた。こちらのほうが折りやすいかもしれない。鏡面が真っ平らなのが難。

コメント

_ grauke ― 2009/08/30 08:54

こんにちは

ほほー! 新型は見た目にも分かりやすいです
なにか親子教室などで 子どもは新型、大人は旧型 と折れば
いつになく大人の貫禄を見せることができるかもしれませんね

私としては 鏡面の表情から旧型に一票!

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