笹の葉さらさら2009/07/11 11:09

松本七夕人形
 7月7日の関東甲信越の晴天率は30%以下とのことで、今年も例年のごとく星空は見えなかったが、勤務先の野辺山宇宙電波観測所では、「世界天文年全国同時七夕講演会」なるイベントがあった。織姫星(こと座のVega)が太陽系外の惑星探査にとって重要な天体である、という話だったが、そう言えば、カール・セーガンさんの『コンタクト』でも、通信を送ってきたのはVega系の惑星だった。

 太陰太陽暦の7月7日は、今年は8月26日だそうで、このころの晴天率は60%ぐらいらしい。
 写真は、何年か前に見た、長野県松本市の郊外にある重要文化財・馬場家住宅で再現された、江戸時代の七夕飾りである。再現の元になった資料は、江戸後期の学者・菅江真澄の記述とスケッチで、ちいさな紙人形が糸に吊るされているのだが、素朴なつくりの人形が折り紙細工的だ。星空に映えるだろう。
 松本は、知るひとぞ知る七夕の街で、市立美術館や人形店で、各種の七夕人形を見ることができる。中でも興味深いのは里山辺という集落の、御幣のようなひらひらがついた人形だ。ただ、これはどうやら、松本近辺が起源ではなく、山梨の笛吹川流域の七夕人形が伝播したものらしい。七夕のあとに泥棒除けになるということで、人形がオルスイさんとも呼ばれていたり(詳細は日本七夕文化研究会の信清由美子さんの報告参照)、近隣の道祖神祭りの飾り付けが七夕の笹竹に似ていたりと、紙による飾りに興味がある者としては、笛吹川流域は、いずれじっくり調べてみたい土地である。より一般的には、天竜川と花祭り、鶴見川と杉山神社のように、古い民俗が河川の流域に広まっているという現象も興味深い。