菱餅の幾何学2009/03/03 22:47

菱餅の幾何学
 以前、菱餅が菱形であることの由来と、その頂点の角度は何度が「正しい」のかについて調べて、発表したことがある。
 調べれば調べるほど、それは錯綜し、♦円と菱形と直線からなる、宮中正月料理の菱葩(ひしはなびら:写真の菱葩餅参照)に関する話、♦吉野裕子氏による、菱形が女性を象徴するという話、♦正方形を「角立て」にした水の神と山の神の御幣の話、♦小笠原家の家紋である三階菱と、武田家の家紋である武田菱の関係についての話、♦三月三日を重三(ちょうさん)と称することと、伊勢・飯南地方や遠州(静岡西部)の三角餅の話、♦破邪の剣や蛇の頭の形象化としての菱形という話、♦植物のヒシの持つ霊的な力と、菱形という呼び名がヒシの葉のかたちからきたのか実からきたのかという話、♦中国創成神話の男女神の持ち物であるコンパスと定規、および、男雛女雛の持ち物である笏と扇に関する、宮崎興二氏の、反転した方と円の象徴性の話、♦そして、紋章上絵師の作図の話など、素材があふれかえった。
 じっさいの習慣は、さまざまなものの複合なのだろうが、図形バカとしては、「円(男)と正方形(女)から美しく作図できる図形としての菱形」ということを考えた。そして、45度135度の菱形と、70.52..度と109.47..度(マラルディの角度!)の菱形が、円と正方形の子である菱形としては相応しいと結論したのであった(図参照:なお、左上図は今回思いついた)。前者は折鶴の菱形、後者は、家紋の武田菱の菱形である。
 しかし、こんにち、じっさいによく見る菱餅は、60度120度なのであった。人形メーカーのつくる雛飾りの菱台も、すくなくとも最近のものは、60度120度や、53.13..度と126.86..度(tan(53.13../2)=0.5)のものが多数派である。先日、妻がスーパーマーケットで買ってきた菱餅(写真)も60度120度であった。正三角形がふたつ合わさったかたちである。しかし、我が家の菱台は、じつにすばらしいことに、45度135度なのである。その菱台の上に置かれた、真空パックされた60度120度の菱餅は、すこし居心地が悪そうだ。

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_ まつ乃 寛史 ― 2009/05/24 19:52

折り紙大好き
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