謎のペンタグラム2009/01/18 22:38

 Google Mapを見ていて、東京オペラシティーの広場に、巨大なペンタグラム(五芒星)を発見した。現地には存在しなかったので、クリスマスのときのデコレーションかなにかと思われる。
 近くにある渋谷区立幡代小学校には、屋上に同心円とアルキメデス螺旋。これを見た妻が、「Sケンかなにかに使うのでしょう」と言ったのだが、わたしはSケンなる遊びを知らなかった。

『未見坂』2009/01/18 22:46

 話の展開が見えてこないのか、彦さんは煙草をまたもみ消し、ううむと唸って、しばらく腕を組んでいた。それからハイライトのパッケージを手に取り、折り紙でもするように四隅にきれいな角を付けていく。こうしてきちんと箱のすがたを保っていると中身が出しやすいのだそうだ。
『未見坂』

おにぎりはひとつひとつが大きくて、重くて、丸々している。ぴたりと巻き付けられた海苔に米粒の水分がしみてしっとりしているのも、色紙の細工みたいなパリパリした糊のおにぎりばかり食べている身にはめずらしい。
『トンネルのおじさん』

 連作短編小説集『未見坂』(堀江敏幸著)に出てきた、「折り紙」と「色紙」。「比喩としての折り紙」の研究家(?!)として、あえて突っ込んで考えると、ここでの「折り紙」と「色紙」は、微かに過剰な(「微かに過剰」って変な表現だけれど)几帳面さと、味気なさにも通じる形式性を象徴している、とも言える。折り紙の本質が、自由な手遊びよりも、もっと秩序立ったものであることを透かし見せている、と言えなくもない。まあ、考えすぎだけれど。
 本自体は、手練(てだれ)の文章家による、よい小説を読んだなあ、と思わせてくれる一冊。登場人物は、誰もがなにか大切なものを喪失しているか、そうした予感の中にあるのだが、感傷というところまで行かずに寸止めされているので、エモーショナルなものとは違った透明な感覚が呼び覚まされる。