和算の「式」2008/08/09 10:30

 最近、すこし詳しく和算を調べているのだが、これの「数式」の記述が面白いので、ちょっと触れておきたい。
 たとえば、甲=乙/((3-√3)/2)は、「置三個 開平方 以減三個 余半之 以除乙 得甲」となる。右からというか、括弧の中から記述するわけだ。
 括弧を使った式は、全体の構造を一覧できる強みがあり、すっかりこれに馴れているが、じっさいの計算の順番には対応しておらず、文章での説明に適したものとは言えない。たとえば、式を読み上げることに並行して計算することはできない。一方、和算の記述は、計算の順序に則した自然なものである。
 この記述は、スタック構造(最後においたものを、一番最初にとり出せる整理棚のようなもの)を使った「逆ポーランド記法」にも似ている。(演算子は必ずしも後述ではないので「逆」と言えないけれど)
 西洋数学・近代数学の式というのは、文章というよりも、構造を一瞥して把握するという意味で「図」なのではないかとも思った。