「なまなり立方体」2008/01/13 00:58

なまなり立方体
 立方体になりかけという意味で、「なまなり立方体」とした一連のモデル。ほかにも数種できたが、まとまりのよいものを数点。
写真左上:正方形1枚。表裏同等である。きっちりしているけれどややこしいという感じが面白い。
写真中上:正方形1枚。裏から見ると(写真右上)、欠けている部分が多いことがわかる。
写真下:写真中上をちょっとだけ変えて2枚組にしたものを2種。

「4回折りユニット」2008/01/13 00:59

4回折りユニット
 正方形を4回折っただけの単純なかたちがユニットになることを発見した。あまりに単純なので、再発見、つまり前例がある可能性が高いが、個人的にはコロンブスの卵である。
 屋根みたいなかたちが六つなので「六屋根多面体」と名付けたもの(写真左上)は、折り目の比率を1:√2としたモジュール12枚で組んである。屋根の棟にあたる部分がスリットになるなど、組み上がりはすこし弱いが、組み方を工夫すると糊は不要だ。4枚組は、正四角柱に組むと、高さと正方形の辺の比率が自由になる。
 ここで問題。同じ大きさの紙を使った場合、体積最大になるのはどのような比率か? 答え:予想通り、三等分の比率を使ったもの、すなわち立方体が体積最大である。微分入門の教材にいいかも。

道祖神祭りその1−都留市十日市場2008/01/15 22:11

道祖神祭り−都留市十日市場
 小正月に松飾りを燃やすドンド焼きは、日本全国各地にある行事だが、甲斐地方では、これが道祖神信仰と習合している。(追記2009.3:ドンド焼きが道祖神と関わるのは全国的である。そもそも両者には密接な関係があり、「習合」とは言えない) 13日と14日、何カ所かでこの行事・道祖神祭りの「飾り」を見てきた。東京−山梨・長野を行ったり来たりしている半山梨県民だが、見るのは初めてだ。(探索の参考にした文献:『やまなしの道祖神祭り』山梨県立博物館)
◇月日:2008年1月13日
◇場所:山梨県都留市十日市場
◇道祖神のタイプ:文字碑(残念ながら(?)丸石ではない)
◇「飾り」:高さ10m近くの菱形で、ループアンテナのような形状。五重の同心状で、三角形の座布団やバケツなどが下げられている。座布団は、伊豆の「吊し雛」などにも見られる、正方形を二つ折りにした直角二等辺三角形で、小三角形を下げた「子持ち」のものもある。都留は富士みち、つまり富士山に向かう途上に位置するので、このかたちが富士の象徴という意味を含んでいる可能性もある。中心やや上には扇を三つ集めた円がある。道祖神そのものは丸石ではないが、丸、三角、四角(菱形)がそろっていることになる。
 なお、民俗学者の吉野裕子さんによると、菱形や扇は、性や生殖の象徴である。道祖神にはそもそもそうした性格もあるので不思議はない。
 バケツの意味はよくわからない。かつては籠で、養蚕と関係があったとの話もある。
 すぐ近くで、この「アンテナ」によく似た、十字に組んだ竹を中心に立てて松飾りを燃やすところも見た。竹が燃え倒れる瞬間は車中からちらと見ただけで、もとがどのような造形物だったかは、しっかりとは確認できなかった。

道祖神祭りその2−北杜市明野町下神取2008/01/15 22:24

道祖神祭り−北杜市明野町下神取
◇月日:2008年1月14日
◇場所:山梨県北杜市明野町下神取
◇道祖神のタイプ:石祠。石祠の中に丸石もある。(写真右下)
◇「飾り」:高さ7・8mの柳状の竹。下神取の二組と四組の集落にそれぞれ立っている。オヤナギサンと称する。
 甲斐駒ケ岳と八ヶ岳を望む、のどかな田園風景に似合っている。二組のものは前日の強い風で枝が偏っていたが、四組のものは、放射状の曲線が美しかった。(懸垂線という言葉を書きかけたけれど、弾性によるものなので、懸垂線とは違う…はず)
 通りかかった地元のおばあさんに聞いたところでは、13日につくって19日まで立てておき、その後、枝を家々に分けるということだった。枝の数は22。家の戸数だろうか。
 枝の末端には人形がつけられている。ハイボコさん(ククリザル、ホウコ、サルボボなどと称されるものと同形の赤ちゃんの人形)が伝統的なもので、四組のものはすべてがそれだったが、二組のものは、テディーベアなどもあった。ハイボコさんは、子孫繁栄の象徴だろう。
 二組の道祖神に供えられたまゆ玉(餅を枝にさしたもの)のなかに、十五個まとめた変わったものがあった。1+2+3+4+5=15の「パスカルの三角形」である。全体のかたちは箕(み)を思わせる。

道祖神祭りその3−笛吹市春日居町熊野堂2008/01/15 22:31

道祖神祭り−笛吹市春日居町熊野堂
◇月日:2008年1月14日
◇場所:山梨県笛吹市春日居町熊野堂
◇道祖神のタイプ:熊野堂上組は文字碑、下組は縦長の丸石。
◇「飾り」:高さ10m近い菱形。菱形は同じでも、都留市十日市場とは異なり、同心状の構造はなく、飾りもオコンブクロという内部に玉のはいった網状の紙細工が中心である。オコンブクロの中の玉も紙でつくられている。紙を縫い合わせたものとのことだが、ユニット折り紙のように見えるものもあった。七夕飾りのような印象もある。笛吹川流域には、オルスイさんという網飾りのついた七夕人形もあるので、関連が考えられなくもない。意味としては、やはり子孫繁栄だろう。
 熊野堂上組(写真左)のものには、チリトリやバケツ、ザルなども下げられていた。意味はよくわからない。チリトリは何かの代用のような気もする。それとも、掃除道具はある種の呪具になることもあるので、それゆえか。なお、中心には円形の扇がある。
 前日に探したときは影もかたちもなかったが、この日の昼過ぎには立っていて、見つけたときは「あった!」と大声をあげてしまった。飾りの下には松飾りも集まっており、これらは14日の夜に燃やすとのことだった。

道祖神祭りその4−笛吹市石和町市部2008/01/15 22:38

道祖神祭り−笛吹市石和町市部
◇月日:2008年1月14日
◇場所:山梨県笛吹市石和町市部
◇道祖神のタイプ:見事な球体。削り磨いたもので自然石ではない。ドンド焼きの場所からは離れた甲斐奈神社の境内にあった。
◇「飾り」(というかドンド焼きの舞台):舳先に干支の藁細工をつけた船で、オブネと称する。干支の造形をほどこすのは近年のことらしい。ネズミの目は松ぼっくりでひげは松葉。かつては町中を引き回したというが、いまは燃やすだけとのこと。仕上げをしている場面を見てきたが、その日の夕方には燃やされるとのことだった。ちょっともったいない。熊野堂の道祖神場を探していて、同道していた妻が発見した。